かど七店主が行く 越前焼脇谷窯レポート

西浦武・中沢洋子ご夫妻は福井県丹生郡織田町脇谷で越前の伝統的な無釉締焼の作品を創っている。
西浦武さんは東大法学部卒業後サラリーマン生活を経て作陶に入ったという異色の経歴の持ち主。
のどかな山里に二人で穴窯を築き2ヶ月に1回のペースで窯をたく。
穴窯は古い様式の窯の一つで一度火をつけると6日間は焚き続けねばならないハードな作業だ。
窯の側には約800束、10,000本のブナやナラの薪が積まれている。
膨大な量の薪が高温で燃焼し灰釉となって作品に独特の印象をもたらす。
「土の造形と炎の強さ、そして釜をあけるまではわからないという意外性があるからこそおもしろい。おぉっ!というのもあればしまった!というのもある。でもそれでいいんだ。」とは西浦さんの弁。

洋子さんは食器の製作が多い。
「自分ならどんなのを使いたいかなぁというのが基本かな。」作品はお二人の個性をそのまま反映している。
西浦さんのは素朴で武骨な線を感じる。好奇心にあふれ創作性に富む。中沢さんのは同じ窯で焚いているのに線が優しい。
おっしゃるように鉢を見つめていると中に入れる素材が浮かんでくる。
お二人に共通するのはなんのけれんみもないことか。「互いに批判はしないけど批評はするね。お、それいいじゃないか、とか。」
脇谷の風土に根を下ろしながら作陶に励むお二人の声が響いた。
2004年10月7日